ブログを更新するのは久しぶり。
最近は移動中にfacebookで色々と更新するので、ネタがない…
と思っていたのですが、ありました!
大阪・京都・滋賀・兵庫、毎日のように出かける私の移動時間は
田舎に住んでいるため半端じゃなく長いので、
当然、fbだけでなく、読書の時間にもなります。
それならブックレビューを書いてみようというわけで
ブログでも紹介することにしました。
前振りが長くなりましたが、今回は先日出版記念のシンポジウムにも
参加した立命館大学教授 津止正敏著「しあわせの社会運動」です。
この本は京都の障害児・者の生活と権利を守る連絡会(京障連)が
発行する月刊誌「ひゅうまん京都」に11年間にわたって連載された
コラムを収録した本です。
内容は障害児とその親たちの生活支援のことから
高齢者、特に単身高齢者のくらしに関する調査
男性介護者のこととご自身の介護のことなど多種多様。
公私にわたるその時々の出来事とそれに対する津止氏の想いが
書き記されています。
私自身が津止先生を知っているため、読んでいると
本を読んでいるのではなく、どこかの居酒屋で
一緒に語り合っているような気がしてきます。
でも、それは著者を知っているからというだけでなく、
それ以上に津止氏が読者にしっかりと語りかけているからです。
大学教授の本というと、堅苦しい研究の本のような印象を持つかもしれませんが
この本は研究について書きながらも、そこに関わる学生の姿勢や
研究調査という行動の中での人間「津止正敏」の心が記されています。
特におもしろいのは、11年間という時の経過を、読んでいて感じること。
最初のページはまだ津止氏49歳だったのが、お終い近くには還暦とあります。
文章だけで感じるのではなく、社会の移り変わりがきちんと見えるからです。
毎回600文字程度の短いコラムの中に、社会の事象をきちんと盛り込み
社会運動との関連で自身の考えや意見も述べているのは、
さすがと言わざるを得ません。
大学教授の本らしく数字によるデータや調査結果のコメントなどが
伝えられ、明快な論拠が示された理論的な文章であるのに
読み物としての面白さにグイグイ惹きつけられていくのは
やはり、その語り口にあるのでしょう。
特に遠距離介護のお母さんのことを書いたページでは
息子が母を見るときにある深い愛情がジワっとにじみ出ていて
胸を突かれます。
表紙や各章の挿絵に津止氏と深い縁のある渡辺あふる君の絵が
使われていますが、これが一層すばらしいものにしています。
彼は養護学校に通っている時から絵を描いて卒業後は個展も開いています。
最後に、最も印象に残る一文を。
「福祉の世界はいつも一足早く時代を走っている」
最初のページの末尾に書かれたこの言葉の意味を
知りたいと思った方はぜひとも書店で手に取ってください。
先の時代を知りたければ、福祉の世界を見ればいい
それは、いつか向かう私たち自身の未来です。
お近くの書店にない方のための情報です。
「しあわせの社会運動」人がささえあうということ
津止正敏著 「ひゅうまん京都」編
発売元 鰍ゥもがわ出版
TEL 075-432-2868
http://www.kamogawa.co.jp/
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