2010年09月27日

奥吉野で狸に化かされた?!

昨日、久しぶりに奥吉野に行きました。

朝からお弁当を用意して、冷えた低アルコールビールも

保冷の容器に2缶準備、お茶にたてたばかりのコーヒーも

ポットに入れて準備万端で出かけました。


猛暑の夏からいきなり秋に変わって、遅れていた彼岸花が

お彼岸に間に合わせるように、一斉赤い花を咲かせて、

コスモスが色とりどりの花びらを、ススキが銀色の穂を

秋風に揺らしています。

コスモス2.jpgコスモス1.jpg
大宇陀のコスモス


秋が駆け足でやってきて、山里の季節の移ろいが際立って見えます。


幾度も車を止めて写真をとっていたので、大峰奥駆道に入り、

大峰山の登山口辺りまで来る頃にはすっかりお昼を過ぎていました。


__.jpg
一番奥に見えるのが大天井滝

大天井滝近くの東屋で、持ってきた弁当を広げ、ビール(もどき)を

片手にお昼ごはんを食べていると、まぶしい日差しも夏の勢いはなく、

雨上がりの山並みも蒼味を帯びて、朝晩の冷たい霧が目に浮かぶようでした。


胸に吸い込む空気には深い森の香りがして、原始の森もこうかと思うような

大きく茂ったシダは山肌を埋めて瑞々しい葉を広げています。


この山はいまだに女人禁制の修験者の山です。

反対側の洞川(どろかわ)には登山口に女人結界もあります。


神気が満ちるという言葉を、初めて身をもって体験したのはこの場所

でした。

夕暮れや早朝の山々は、まさに神の山にふさわしく、

濃い霧が谷を覆いつくし、人を寄せ付けない険しさで

白い雲の中に威容を現しているからです。


でも、そのときは明るく、ただ美しい山並みでした。


目的の黒滝村にはジャグジーつきの入浴施設があるのですが、この日は

テラスが壊れて閉鎖中との事、それでもゆっくりと内湯を楽しみ、

手足を伸ばして日頃の疲れを落とすことができました。


こんな具合なので、帰りに洞川を抜ける頃はすっかり日が暮れて、

なんだか小腹が空いてきました。

『あゆ、あまご塩焼き』の看板につられ、竹串にさした魚の姿に思わず

車を止めて、川魚の塩焼きを食べることに。

「あまごの塩焼き」と私。

「何にしようかな?」と悩む夫に「子持ち鮎はどうや?」「あ、それ」

『子持ち鮎』とは豪勢な。

焼けた魚を少しあぶりなおして、店のおじさんは奥に引っ込みました。

お皿を手に出てきて、温めた魚を乗せると「はい、女性にはこれ」と

小ぶりの焼き芋を差し出してくれます。

おおっ、そういえば焼き芋はこの秋の初物だ!と喜んで、お礼を言うと

もうひとつ、小皿を差し出してくれます。

中にはどうやら、魚の煮付けが…

「マグロのカマを炊いたんや、骨もみな食べられるで」

臭みもなく、やわらかくなった骨は噛むほどに味わいがあります。

さっくりと、干菓子のような食感も面白い。

うーむ、なかなか凝った突き出しがでるなあと感心していると

またまた、小皿が。


今度はなにやら、生のお肉のようだけれど…

「マグロの目ん玉のとこの身や。白いとこはコラーゲンたっぷり、

明日は奥さん、お肌つるつるやで〜」なんてにっこり笑っています。


ひえー、こんなもの出てきて、食べてええのん?って感じの私。

白身の部分は、まるで大トロ、赤身は身がしまって馬刺しのような

食感です。

とにかく美味しい!!

「美味しい!」を連発していると、次々と料理が出てきます。

みんな小皿で、寒天寄せや薄味の佃煮のようなもの、どうしましょう。


おじさんは人の良さそうな顔に、満面の笑みを浮かべて

「わしは、人に食べさせるのが大好きなんや。ここに座ってくれた

人には、あるだけの料理を出してる。お代は魚の分だけやで」

すごいっ!すご過ぎる!

こんなにたくさん美味しい、しかも珍しいものをタダで食べさせちゃうの?


感激して、私と主人はすっかりこの『仏様』のようなおじさんのファンに。


常連さんがせっつくので、初夏からしか出さない店をこの頃は3月末から

出すことにしたそうです。

もうじき鮎が大きくなって美味しくなるらしいです。

11月23日までしかやらないというおじさんに、また必ず来ますからと約束して

洞川を後にしました。


ところが、帰りの山道、夫は来た道なのに何度も道を間違えて

道ではない方向に走ろうとします。

3度目にコースアウトしかけたときはさすがに

「俺、狸に化かされてるのかなぁ」と、自分でも首を傾げて

「ひょっとしたら、あのお店も狸のお店やったのかしら」と

不安になりました。

昔ながらの、宿にぼんやりと提灯がゆれる風景も、

次々と出される美味しい料理も、

もしかしたら狸が化かした幻かも。


でも、あんなに美味しかったんだから、それでもいいかと

二人で笑って帰りました。

11月、紅葉が最後の頃にまた確かめに行こうと思います。



posted by 諾 at 18:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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