2011年02月12日

雪の降る音


昨日は一日中雪が降ったり、止んだり。

京都とは言っても、奈良と三重との県境に近く

山に囲まれた小さな谷のようなこの土地では

雪が積もる日もめずらしくはありません。


それでも、夫の故郷の長野で降る雪とは比べ物にならず

一晩で1mを超える積雪になる信州の雪を懐かしく

思い出しました。


雪が降る日は、静かです。

音もなく雪が舞い降りてきて、ふわふわと積もりながら

周囲の音も吸い込んでしまうように静かになります。

雨の日が雨音で満たされるのと対照的に、

雪の日はとても静かなのです。

積もった雪が重さに耐え切れず屋根を滑り落ちる

「ドサリ」という音が、たまに響く他は

音をなくし、雪を含んで重くなった空気が一緒に溜まっていく。


ところが、これが本当に山の中など周りの音が元々ないところだと

少し状況が違ってきます。


初めて雪が降る音を聞いたのは、二十歳くらいの頃。

スキー仲間20人程とみんなで何棟かの貸し別荘を借りて

自炊しながらスキーをしたことがあります。

一番大きな山荘で夕食を皆でとった後、翌日の朝食の材料を取りに

別の山荘まで行かなければならなくなり、

一人で歩いて向かいました。


真っ暗な山の別荘地も、街灯がいくつもあり、

白い雪が灯りを反射して道は明るいので怖くありません。

朝食の材料を手に提げて、ゆっくりと戻りながら聞こえるのは

自分が雪を踏んで歩く音だけ。


街灯の光の中を、さらさらの粉雪が落ちてきて、

上を向くと私自身を中心に雪が包み込もうとしているように見えます。

思わず、その輝く雪に見とれて立ち止まった時です。

それまで聞こえなかった『音』のようなものを感じました。

『音』と、はっきり言えないのは、耳で聞いたというよりは

頭の中に直接聞こえてきたような気がしたからです。

まさに「しんしん」という音でした。


胸の中に落ちていくような、静かな音で・・

灯りの周囲を包む暗闇に広がり、溶けて消えゆくような

不思議な音に聞き入り

どのくらい立ち尽くし空を眺めていたでしょうか?


心配した仲間が、迎えに来て、また一緒に音を聞いて

結局寒さで我に返るまで、雪の中で過ごしたのでした。


ナイターがあるスキー場の夜では聞くことはできません。

結局雪の降る音を聞いたのは、あれが最初で最後です。


でも、その話をすると夫は「知っている」と言います。

雪国の人ならみんな聞いたことがあるのかもしれません。


たった一度聞いただけの『雪の降る音』

でも、こんな風に雪が降ると思わず耳を澄ませてしまいます。

ずっとそうしていると、

記憶の中の、あの音が聞こえるような気がするからです。







posted by 諾 at 08:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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