2012年03月31日

「ここさこらんしょ」の一年


去年10月に福島市で行われた「市民講座〜本音で語る広場〜」の後で
セカンドハウス「ここさこらんしょ」を訪れてから、約半年。

1年を振り返る集いが今日3月31日に福島市の「ここさこらんしょ」で
開かれました。

「ここさこらんしょ」には、双葉町から避難している石田さんご夫妻が
10月から住んでおられますが、この3月からかわいい家族が増えました。

双葉町の自宅に取り残されていた飼い猫の「ふじちゃん」が救助され
ようやくこの家に帰ってくることができたのです。

ふじちゃん.JPG
ハスキーボイスのふじちゃん♂


可哀想に、泣き続けたせいか声がつぶれてしまっています。
でも、ようやく寛げる我が家と懐かしい家族のもとに戻りました。

とても人懐っこくて「ふじちゃん、良かったねぇ」となでると、
喉をならしてすり寄ってきます。

石田のお父さんもふじちゃんが行くと、表情がゆるみ、
時々声をかけることもあって、家族の一員として
喜んで迎えていることがわかります。

本当に無事戻ってきて良かった。


今日集まった人は、石田さんご一家を含めて26人。

DSCF2146.JPG
挨拶をされる石田さんのご長男政幸さん


お父さんの病院関係者、ケアマネジャー、大学の先生や大学院の学生
これまでボランティアナースとして来られたみなさん。

そして地元で、ここの立ち上げに尽力されたTさん、
東京の在宅看護研究センターの村松代表とナースの皆さんが駆けつけ、
私のように村松先生に引き寄せられるようにやってきた
四国の高校の先生と息子さんとご近所の方々。

「ここさこらんしょ(ここにいらっしゃい)」の言葉どおり、
この場所に集い、再会と出会いの喜びが家じゅうにあふれています。

DSCF2147.JPG
昔ながらの親類縁者の集まりのよう



石田さんがここにご入居される前日、女5人でわくわくしながら
最後の準備をした日には、今日のこんなにぎやかな光景を
想像することはできませんでした。

明るい光が差し込む部屋いっぱいに人が座り、
テーブルには石田のお母さんの心づくしの手料理が並び、
そこここで挨拶が交わされて笑い声があがっています。

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石田のお母さんの料理は最高!


「明日からここで在宅での介護が始まる」
緊張感にふさわしい秋の日の朝から、この陽光あふれる春の日までに
どんなドラマがあったのでしょう。

私は村松先生が起こした奇跡を目の前に、胸いっぱいになって
皆さんの笑顔に酔ったようになっていました。

ご近所の皆さんが「福島の県民としてお礼を言いたい」とご挨拶をされて
何もできない私は、それだけで申し訳ないような気になり、
せめてこのことを伝えようと心に決めたのでした。

福島県民を代表して挨拶.jpg
県民を代表?!してご挨拶♪


村松先生は、ここをもう1年継続するためにいくつもの申請を行い
2年目を継続できることが決まって表情も晴れやかです。

いつもながらの人をとろかすような笑顔で周囲には常に人の輪ができています。

石田のお母さんはお父さんの世話をすっかりナースさんたちに任せて、
皆さんの接待に大忙しです。

半年前の市民講座でお目にかかった時よりすっかり明るくなって、
最初玄関で迎えていただいた時には別人かと見間違うほどに
活き活きしています。

この石田さんのお母さんとお父さん、そして長男の政幸さんのお話は
後でゆっくりとすることにしましょう。


石田のお父さんは、ここへ来たときには体調も悪く、嚥下の力も落ちていたので
結局胃ろうによる栄養補給をすることになりました。

でも、その後この家で暮らすようになってからは、徐々に体力も戻ってきて、
今日はミキサーにかけた食事を車いすに座って自分でしっかり食べています。

隣に座っていた看護師長さんが
「やっぱり在宅の力はすごいわねぇ。半年前は自分で食べるなんて考えられなかった。
本当にお元気になられたわ…」と感慨深げにお父さんを見つめています。

ここは石田さんにとって自宅ではありません。
でも、ご近所の顔なじみができ、気心の通じた看護師さんのお世話があり、
自宅のような自由な暮らしがあることで「在宅介護」の良さが引き出せるのでしょう。

師長さんの複雑な表情から、病院での看護の限界と闘う人の苦悩と
患者への思いやりが見て取れました。

こういう看護師さんたちがいるから日本は大丈夫なんだと、
またひとつ大切なものが増えたような気がしました。

話は尽きることなく、台所、お父さんの居室、居間といろんなところで
数人が集まって話をしているところは親類の集まるお祝いの席のようでした。


夕刻、伝えきれないほどの想いを抱えてそれぞれが帰っていきます。
今日残るのは、四国のKさん親子とナースのHさん、私の4人です。


この日に「ここさこらんしょ」に来た私ってえらい。
だって、こんな素晴らしい時を過ごすことができたのだから。


村松先生にまた会うことができたし、お話もできた。
懐かしいナースさんたちにも再会できて、本当に良かった。

きっと、今日ここに集った人たちがみんなそう思っていると信じます。
再会を約束して、元来たところへ戻っていく人々。

でもここにもうひとつ帰る場所が増えたのです。
セカンドハウス「ここさこらんしょ」は心のよりどころ、もう一つの我が家だから。

また、きっとここで会いましょう。

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村松先生と石田さん親子を囲んで記念撮影








posted by 諾 at 19:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月25日

久しぶりに琵琶湖見ました


ここのところ、セミナーや会合や見学などあちこち飛び回っていて
まさしく『貧乏ヒマなし』状態でした。

今日もソウル市の老人施設協会の視察旅行で日本の施設を見学したい
と言われたので、大津市の真盛園を案内してきました。

その様子はフェイスブックで詳しく話しているので、ここでは別の
観光としての一日を。


実は前の会社にいるときに取材で真盛園や、関連の施設を訪れて
いたので坂本には何度も来ていました。

でも紅葉のシーズンは初めてです。
少し遅いかなと思っていたのですが、今年は暖かい日が多かったため
ようやく紅葉が始まり、色づきもイマひとつといったところです。

それでも秋晴れの坂本は白壁が美しく、青い空と伝統の町並みが
すっきりとしたコントラストを見せて坂の多い、町歩きを軽快な
気持ちで歩かせてくれました。

見学のご一行が来るのは14時。
私は12時過ぎにJR「比叡山坂本」駅に着いて、この静かな佇まいの
町を楽しもうと歩き出しました。

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日吉大社の鳥居


しかしっ、今日は寒い!ふらふら
お天気は良いのですが、風が冷たいっ!
手が冷たくなってきて、手袋がほしいと思うくらいです。

日向をえらんで歩くと少しは暖かいので、日吉大社の鳥居をくぐり
参道を登り始めると、すぐに京阪の坂本駅があり、向かいの観光
協会で地図をgetして迷子予防。
携帯のナビを使うと電池がすぐなくなるので、今日はアナログで。

日吉大社にお詣りする時間はないと判断し、生源寺の角を折れて
西教寺へ直接向かうことに。
生源寺ではお葬式があるらしく、僧侶が数人と喪服の男性が門前で
出迎えをされていましたが、観光地のお寺でのお葬式は少し不思議な
光景でした。

この通りは里坊と呼ばれる小さなお寺がびっしりと並んでいます。
民家も古い造りのものが多く、洒落た和風のカフェなどもあり、
散策にはもってこいの場所です揺れるハート

穴太衆積み(あのおしゅうづみ)と呼ばれる独特の石塀が続く路地は
風もさえぎられ、しかも坂道を上っていくので、だんだん身体も
温まってきまするんるん

八朔が実っていたり、金柑の木がかわいい黄金色の実を鈴なりにして
いたりして目を楽しませてくれます。

30分くらい歩いたところで、見慣れた西教寺の山門が見えてきました。
あちこちでゆっくりしたけどあと1時間くらいはあります。

IMG_0589.jpg


西教寺にお参りすることにしました。
本堂までの道は楓の木が何本もあり、その中には見事に色づいている
ものも。

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美しい紅葉と青空


階段を上がって本堂まで行くと、もうすっかりポカポカ。
振り返ると、琵琶湖が一望に見渡せます。
母なる湖と呼ばれるこの琵琶湖は、私にもとても懐かしい景色です。

IMG_0591.jpg


この西教寺も比叡山が織田信長に焼き討ちにされたときに焼かれて
その後明智光秀によって再興されたそうです。

天台宗の総本山だけあって総けやき造りの本堂はどっしりとして
威厳があります。
障子が閉ざされ、中からは読経の声が聞こえていました。

IMG_0592.jpg


私はここに明知一族の墓があると聞いていたので、今日はぜひとも
見ておこうと思っていました。
3日天下と言われる明智光秀は、実はとても素晴らしい統治をした
優れた当主だったということです。
悲劇のヒーローのお墓にお参りしたいという少々乙女チックなぴかぴか(新しい)
目的があったのです。
お墓は本堂の左手、思っていたよりも大きく立派でした。

IMG_0593.jpg


手を合わせ、しばし戦国の世に想いを馳せてみましたが、秋晴れの
静かな境内では想像が及ばず、時間も無くなってきたので、
あっけなく現実に引き戻されてしまいました。

後はお仕事。今日の本当の目的のために石段を降りましたダッシュ(走り出すさま)

こちらも、首尾よく終わり充実した一日でした。
帰りに駅前の店で買った揚げたてのコロッケとポテト。
身体が中から温まっておいしかった〜わーい(嬉しい顔)




posted by 諾 at 23:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月23日

福島にこらんしょ


先日福島に行った時に、「こらんしょ」に
泊めていただいたという話をしましたが、
今回は「こらんしょ」の宣伝を勝手にやってしまいます。

まず、正式な名称は…

セカンドハウス「よりどころ」inふくしま
『ここさ こらんしょ』

こらんしょ外観.jpg

「ここさ、こらんしょ」は「ここへ、いらっしゃい」の福島弁です。

在宅看護研究センターLLPの村松代表が、3.11の地震の後
息の長い支援を行うために設立されました。

福島市内の静かな住宅街にある、ごく普通の住宅です。
玄関に手作りのかわいい看板がなければ、誰もここが
特別な場所とは思わないでしょう。

看板.jpg


原発の警戒区域で避難生活をされているご家族
津波や地震で家を失ったご家族
そんな中で在宅医療が必要で、避難所生活や仮設住宅での
生活が難しい方が、一緒に寄り合って暮らす場所です。

自分の本当の家ではないけれど、
いつでも行って泊まれるセカンドハウスとして、
心と身体のよりどころとして
作られました。

これまで在宅で療養していたのに、在宅療養ができず入院している
治る見込みのない末期の病人をできれば自宅で看取りたい
そんな方を介護する人と一緒に
ここで受け入れるためです。

全国からボランティアの看護師さんが来て、そんなご家族を
しっかりと支えるのです。
もちろん中心となるのは地元の在宅看護の皆さんです。

私はもちろん初めて訪問しましたが、自分の家や実家に帰ったような
ほっとして寛げる雰囲気がありました。
普通の家だからです。

隅々まできれいにお掃除されて、玄関には季節の野花が飾られています。
茶の間には掘りごたつがつくってありました。
こらんしょ居間.jpg


台所は広くて明るく、お風呂もゆったりした湯船で
きっと手足を伸ばしてゆっくりお湯に浸かってもらおうという
心遣いなんだろうなと感じました。

こらんしょキッチン.jpg

こらんしょ浴室.jpg


私たちは「こらんしょ」にただ泊まりに行ったわけではありません。
村松さんからしっかりA41ページ分の文書による指示を受けて
備品の移動、12日からのご入居に向けての最終の整備を
しなくてはなりません。

指令書をリーダーの細井さんが読み上げ、さっそく行動開始。
備品の移動を終え、お茶を入れる堤さん。
指令書には、頂きものの梨を食べることもあったので
それもクリア。

ふかふかのお布団を掘りごたつを囲むように敷いて
あっという間に、眠りについたおかげで
翌日の起床時間6時には自然に目が覚め、5人で分担を決めて
仕事を済ませます。

私は朝ご飯担当。冷蔵庫にある食材とたっぷりの果物で
豪華な朝ご飯になりました。

朝ごはん.JPG


おかげで、私は次もお料理当番として「こらんしょ」の
ボランティアスタッフの座を獲得できました。

次なる指令は、生ごみ出しと観音様にお目にかかること。
指令書を片手に、全員でミステリーツアーです。

最初のミッションは簡単に終了。
次は観音様。
スタート地点のコンビニでぐるりとあたりを見回すと
ありました、五重塔!

gojyuunotou.jpg


右手に見ながら、歩いていくと思った以上に立派なお寺が。
五重塔は新しくてピッカピカでしたが
本堂と観音堂は古くて由緒ありそうです。

そこへお寺のご住職さんがお掃除に見えて、私たちのために
お堂を開けてくださいました。
ひとつひとつ説明もしてくださって
最後のミッションである観音様のお顔も拝見できました。

観音像.jpg

「このお顔、代表に似てない?」
「あー、似てる!!」
「そういえば、むかし患者さんのご家族に
 観音様だって言われたことあるわ」
「なーるほど…この包み込むようなまなざしが似てるんだ」

早起きしてしっかりミッション達成したおかげで、
とても気持ちの良い時間を過ごすことができました。

「『こらんしょ』に来られるご家族の散歩にも良いね」

磐梯吾妻.jpg

この日も秋晴れで、遠く磐梯の山々が見えています。
こんな場所で暮らせたら、こんな人たちが支えてくれたら
私なら何も怖くないと思いました。

家族を支える人をしっかりと受け止める家と
包み込む人々がいると実感しました。

私と同じ関西から駆け付けた堤さんの
「代表がなぜ福島を選んだか、わかるような気がする」
その一言は、私の中でコトリと音をたてて
胸の中に落ちました。

『ここさ こらんしょ』は、
いつでも腕を広げて迎えてくれるところです。

私にとっては熟女5人で楽しい合宿生活をした思い出の場所。

DSCF1997.JPG
私と一緒に「こらんしょ」で合宿をした皆さん。

10月12日、住む人を得た家はきっと喜んでいることでしょう。



皆さんの中で「こらんしょ」に興味を持たれた方
こらんしょチラシ.pdf

ボランティアを希望される方
詳細はホームページでご覧ください
http://www.nursejapan.com/


posted by 諾 at 13:06| Comment(0) | 旅日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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